相続の基礎知識

相続とは何か

相続とは、ある人が亡くなったときに、その人が生前に持っていた財産上の権利や義務を、法律で定められた一定の親族が引き継ぐことをいいます。民法第882条では「相続は、死亡によって開始する」と規定されており、人が亡くなった瞬間に、特別な手続きを経ることなく自動的に相続が発生します。

相続の対象となる財産には、現金・預貯金・不動産・株式などの「プラスの財産(積極財産)」だけでなく、借金やローンなどの「マイナスの財産(消極財産)」も含まれます。そのため、相続人は被相続人の財産状況を正確に把握した上で、相続を承認するか放棄するかを判断する必要があります。

ℹ 相続の3つの選択肢

相続人には以下の3つの選択肢があります。

  • 単純承認:プラス・マイナスすべての財産を引き継ぐ
  • 限定承認:プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ
  • 相続放棄:一切の財産を引き継がない

日本の相続制度は民法(第5編「相続」)に詳しく規定されています。法定相続人の範囲と順位、法定相続分、遺留分、遺言、遺産分割の方法など、さまざまなルールが定められています。相続が発生した際に慌てないためにも、基礎知識を身につけておくことが重要です。

相続の基礎知識 — 記事一覧

相続の基礎を体系的に学ぶために、以下の5つの記事を用意しました。それぞれのテーマを詳しく解説しています。

相続で押さえるべきポイント

相続に関する知識は多岐にわたりますが、特に重要なポイントを整理しておきましょう。

法定相続人と法定相続分の基本

誰が相続人になるかは民法で厳密に定められています。配偶者は常に相続人となり、それ以外の血族相続人には第1順位(子)、第2順位(父母)、第3順位(兄弟姉妹)の優先順位があります。上の順位の相続人がいる場合、下の順位の人は相続人にはなりません。

法定相続分は、相続人の組み合わせによって異なります。たとえば配偶者と子が相続人の場合、配偶者が2分の1、子が2分の1(子が複数いれば均等分割)となります。ただし、遺言や遺産分割協議によって、法定相続分と異なる分割をすることも可能です。

相続手続きの期限に注意

相続に関する手続きには、それぞれ期限が設けられています。特に重要なのは、相続放棄・限定承認の期限(3か月)、準確定申告の期限(4か月)、相続税申告の期限(10か月)です。期限を過ぎると、不利な取り扱いを受ける可能性があるため、スケジュール管理が非常に大切です。

⚠ 期限を過ぎた場合のリスク

相続放棄の期限(3か月)を過ぎると、原則として単純承認したものとみなされ、被相続人の借金も含めたすべての財産を引き継ぐことになります。期限管理は慎重に行いましょう。

相続トラブルを防ぐために

相続は「争族」と呼ばれることもあるほど、親族間のトラブルに発展しやすい問題です。トラブルを防ぐためには、以下のような対策が有効です。

  • 遺言書の作成:被相続人が生前に遺言書を作成しておくことで、遺産分割の方針を明確にできます。特に公正証書遺言は法的に最も確実な方法です。
  • 財産目録の整理:生前に財産の一覧を整理しておくと、相続人が遺産の全体像を把握しやすくなり、手続きがスムーズに進みます。
  • 家族間のコミュニケーション:相続についての考え方を事前に家族で話し合っておくことで、後のトラブルを大幅に減らすことができます。
  • 専門家への相談:相続は法律・税務・不動産など多分野にまたがる問題です。弁護士・税理士・司法書士などの専門家に早めに相談することをお勧めします。

相続に関する正しい知識を身につけ、計画的に準備を進めることが、円満な相続を実現する第一歩です。

よくある質問

相続はいつ開始されますか?
相続は、被相続人(亡くなった方)の死亡によって自動的に開始されます。民法第882条に定められており、死亡届の提出や手続きの有無に関係なく、死亡した瞬間に法律上の相続が発生します。
相続人になれるのは誰ですか?
法定相続人は、配偶者と血族相続人です。血族相続人には優先順位があり、第1順位が子(直系卑属)、第2順位が父母(直系尊属)、第3順位が兄弟姉妹です。配偶者は常に相続人となります。
相続と遺贈の違いは何ですか?
相続は法律の規定に基づき法定相続人が財産を承継することです。一方、遺贈は遺言書によって法定相続人以外の第三者にも財産を譲ることができる制度です。遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類があります。
相続放棄はいつまでにすればいいですか?
相続放棄は、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。この期間を「熟慮期間」と呼びます。期間内に判断が難しい場合は、家庭裁判所に期間延長の申立てが可能です。
遺産分割協議はどのように行いますか?
遺産分割協議は、相続人全員の参加と合意が必要です。全員が合意すれば、法定相続分と異なる分割も可能です。合意内容は「遺産分割協議書」として書面にまとめ、相続人全員が署名・実印で押印します。