終活の始め方と準備すべきこと

終活とは

終活(しゅうかつ)とは、人生の終わりに向けて行う準備活動のことです。「終わりのための活動」と聞くと後ろ向きな印象を持つ方もいるかもしれませんが、実際には残りの人生をより充実させるための前向きな取り組みです。

終活の主な目的は以下の通りです。

  • 自分の意思を明確にし、家族に伝えること
  • 財産や持ち物を整理し、相続をスムーズにすること
  • 医療・介護の希望を事前に示しておくこと
  • 葬儀やお墓について家族の負担を軽減すること
  • 人生を振り返り、心の整理をつけること

超高齢社会の日本において、終活への関心は年々高まっています。早めに取り組むことで、自分自身も家族も安心して過ごすことができます。

終活の進め方

終活は一度にすべてを完了させる必要はありません。以下のステップで、できることから少しずつ進めましょう。

  1. 1

    エンディングノートを用意する

    市販のエンディングノートを購入するか、自分でノートを用意します。まずは基本情報(氏名、生年月日、保険証番号、銀行口座一覧など)を記入しましょう。書きやすい項目から始めるのがポイントです。

  2. 2

    財産を棚卸しする

    預貯金、不動産、株式、保険、借入金など、すべての資産と負債をリストアップします。通帳や権利証の保管場所も記録しておきましょう。この作業は遺産分割を円滑に進めるために非常に重要です。

  3. 3

    不用品を整理する(生前整理)

    使わなくなったものを処分し、身の回りを整理します。遺品整理は遺族にとって大きな負担となるため、生前に整理しておくことで家族の負担を大幅に軽減できます。

  4. 4

    遺言書を作成する

    財産の分け方について希望がある場合は、法的効力のある遺言書を作成します。公正証書遺言が最も確実です。遺言書があることで、相続人間のトラブルを予防できます。

  5. 5

    医療・介護の希望を記録する

    延命治療の可否、介護が必要になった場合の希望(在宅か施設か)、かかりつけ医の情報などを記録します。家族が判断に迷わないよう、具体的に書いておきましょう。

  6. 6

    葬儀・お墓について決めておく

    葬儀の形式(家族葬・一般葬など)、宗教・宗派、お墓の場所や形態について希望を記録します。事前に葬儀社と相談しておくと、費用面でも安心です。

  7. 7

    デジタル遺品を整理する

    パソコンやスマートフォンのパスワード、SNSアカウント、サブスクリプションサービスの契約情報などを整理します。デジタル資産(ネット銀行、暗号資産など)も忘れずにリストアップしましょう。

  8. 8

    家族と共有する

    エンディングノートの保管場所や、遺言書の存在を信頼できる家族に伝えます。すべての内容を共有する必要はありませんが、いざという時に必要な情報にアクセスできるようにしておくことが大切です。

エンディングノートの書き方

エンディングノートは、自分の情報や希望を一冊にまとめた記録帳です。法的効力はありませんが、万が一の際に家族が必要な情報を素早く把握できる貴重な資料となります。

エンディングノートに書くべき項目

  • 基本情報:氏名、生年月日、本籍地、マイナンバー
  • 医療情報:かかりつけ医、持病、服用中の薬、アレルギー、延命治療の意思
  • 財産情報:銀行口座、保険契約、不動産、株式、借入金、クレジットカード
  • 年金・保険:年金番号、健康保険証番号、介護保険の情報
  • 連絡先:親族、友人、知人、士業の連絡先
  • 葬儀の希望:葬儀の形式、宗教、遺影に使う写真、参列してほしい人
  • お墓の希望:既存のお墓の場所、新規の場合の希望
  • 家族へのメッセージ:感謝の言葉、伝えておきたいこと

💡 定期的に見直しましょう

エンディングノートは一度書いたら終わりではありません。生活環境や財産状況の変化に合わせて、定期的に見直すことが大切です。年に1回、誕生日のタイミングで見直すなど、ルールを決めておくとよいでしょう。

財産の整理

終活において最も重要な作業の一つが財産の整理です。自分がどのような財産を持っているかを正確に把握し、記録することで、相続を円滑に進めることができます。

財産の棚卸しリスト

  • 預貯金:銀行名、支店名、口座番号、おおよその残高
  • 不動産:所在地、面積、権利証の保管場所
  • 有価証券:証券会社名、口座番号、保有銘柄
  • 保険:保険会社名、証券番号、受取人、保険金額
  • 負債:住宅ローン、カードローン、保証債務
  • その他:自動車、貴金属、美術品、ゴルフ会員権など

不要な口座は解約し、使っていないクレジットカードは退会するなど、生前に整理しておくと遺族の負担が大きく軽減されます。

遺言書の作成

遺言書は、自分の財産を誰にどのように分けるかを法的に定める文書です。エンディングノートとは異なり、法的効力があるため、相続人はその内容に従う義務があります。

特に以下のような場合は、遺言書の作成を強くお勧めします。

  • 相続人以外の人(内縁のパートナー、孫など)に財産を残したい場合
  • 特定の相続人に多く財産を残したい場合
  • 事業承継のため特定の人に事業用資産を集中させたい場合
  • 相続人間の関係が良くなく、トラブルが予想される場合
  • 子供がいない夫婦の場合(配偶者に全財産を残したい)

❗ 公正証書遺言がお勧め

遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類がありますが、最も確実なのは公正証書遺言です。公証人が作成するため形式不備のリスクがなく、原本が公証役場に保管されるため紛失や改ざんの心配もありません。

葬儀・お墓の準備

葬儀やお墓について事前に準備しておくことで、家族の精神的・経済的負担を大幅に軽減できます。

葬儀について決めておくこと

  • 葬儀の形式(一般葬、家族葬、一日葬、直葬など)
  • 宗教・宗派(仏式、神式、キリスト教式、無宗教など)
  • 葬儀社の選定(事前相談・見積もり取得が望ましい)
  • 遺影に使用する写真の選定
  • 参列してほしい人のリスト

お墓について考えておくこと

近年はお墓の形態も多様化しています。先祖代々の墓がある場合はそこに入るのか、新たにお墓を建てるのか、あるいは永代供養墓、樹木葬、海洋散骨といった新しい形態を選ぶのかを検討しましょう。家族とよく話し合い、希望を共有しておくことが大切です。

デジタル遺品への対策

現代の終活では、デジタル遺品への対策が欠かせません。デジタル遺品とは、スマートフォン・パソコン内のデータ、SNSアカウント、ネットサービスの契約情報など、デジタル環境に残る遺品のことです。

整理すべきデジタル遺品

  • 端末のロック解除情報:スマートフォン・パソコンのパスワードやPINコード
  • ネット銀行・ネット証券:ログインID、パスワード(暗号資産も含む)
  • SNSアカウント:Facebook、Twitter、Instagram、LINEなど
  • サブスクリプション:動画配信、音楽、新聞、ソフトウェアなどの月額契約
  • メールアカウント:各種サービスの登録メールアドレス
  • 写真・動画データ:クラウドストレージに保存されたデータ

⚠ パスワードの管理に注意

パスワードをエンディングノートに直接書くのはセキュリティ上のリスクがあります。パスワード管理アプリを使い、マスターパスワードのみを信頼できる家族に伝えるか、封筒に入れて貸金庫に保管するなど、セキュリティと利便性のバランスを取ることが重要です。

よくある質問

終活は何歳から始めるべきですか?
終活に「早すぎる」ということはありません。一般的には60代から始める方が多いですが、40代・50代から始める方も増えています。特に遺言書の作成や財産整理は、判断能力がしっかりしている元気なうちに行うことが重要です。病気や認知症になってからでは、適切な判断ができなくなる恐れがあります。
エンディングノートに法的効力はありますか?
エンディングノートには法的効力はありません。遺産の分配について書いても、遺言書のような法的拘束力はないため、相続人がその内容に従う義務はありません。財産の分配に関する希望を確実に実現したい場合は、エンディングノートとは別に、法的要件を満たした遺言書を作成する必要があります。エンディングノートは、連絡先や葬儀の希望など、法的効力が不要な事項を記録するのに適しています。
終活で最初にやるべきことは何ですか?
まずはエンディングノートを用意して、自分の基本情報を整理することから始めましょう。氏名・生年月日・住所はもちろん、保険証・年金手帳の番号、銀行口座の一覧、保険契約の内容、かかりつけ医の連絡先などを記載します。これだけでも、万が一の際に家族が必要な情報にたどり着きやすくなります。
終活を家族に反対されたらどうすればよいですか?
「縁起が悪い」と終活に反対される方もいらっしゃいます。その場合は、終活が「死の準備」ではなく「残りの人生をより良く生きるための整理」であることを伝えましょう。実際に終活を始めた方の多くは、心の整理がつき、残りの人生を前向きに過ごせるようになったと感じています。まずは自分だけでエンディングノートを書き始め、必要に応じて家族と共有していくのも一つの方法です。